現在、国内で承認されている2価ワクチンまたは4価ワクチンの適切な接種により子宮頸がんの60〜70%の原因となるHPV16型・18型の感染は予防できますが、基本的にはその2つ以外の型のHPVの感染による子宮頸がんの発症は予防できないため(一部の型に対しては交差防御の可能性が示唆されています)、ワクチンを接種していても、20歳になったら国の指針である子宮頸がん検診を定期的に受ける必要があります。
最近では、2価、4価のHPVワクチンに加えて、9つの型のHPV(6・11・16・18・31・33・45・52・58型)をターゲットとした9価ワクチンが開発され、WHO(世界保健機関)でもその安全性と有効性が認められ、米国・オーストラリア・中国など多くの国ですでに認可されています。この9価ワクチンは子宮頸がんの原因となるほとんどのHPV型を網羅するため、普及すれば子宮頸がんの90%あるいはそれ以上が予防可能になると期待されています。
米国やオーストラリアなどではすでに定期接種ワクチンとして男女への接種が開始され、この動きは世界に広がっています。日本では、2020年5月22日に令和2年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において承認が了承され、2020年7月21日に承認されました。
また、その他にも外陰がん(陰茎を含む)、肛門がん、咽頭がん、そして性病の尖圭コンジローマなどもヒトパピローマウイルス感染により起こるため、これらに対してもまとめて予防効果が期待されています。
子宮頸がんは毎年約10,000人の女性が新規罹患し、死亡者数は約2,800人と言われています。子宮頸がんの発症年齢は出産や働き盛りの年齢と重なることから、治療によって命を取りとめても女性の人生に大きな影響を及ぼすことが多い疾患ですので、しっかりとした知識をもち備えて下さい。
【取材協力】医療法人青葉レディースクリニック/住所:福岡市東区若宮5丁目18-21
【参考文献】公益財団法人 日本産科婦人科学会
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