臓器の働きを調整するホルモンは、全部で40種類以上あります。
その中で女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類で生理や妊娠、更年期障害など女性の生活に大きく関係しています。
ストレスや疲れ、食生活の乱れ、睡眠不足などで、女性の体のホルモンの分泌が変化し、ホルモンバランスが乱れてしまいます。
生理前のイライラや落ち込み、肌荒れなど、PMS(月経前症候群)と呼ばれる身体的・精神的不調や生理不順などは女性ホルモンの変化によるものです。
女性ホルモンの分泌をコントロールしている脳の視床下部、下垂体では、人の体に大切な甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、成長ホルモンなどもコントロールしています。
この視床下部や下垂体は、脳にストレスがかかると、女性ホルモンの分泌が乱れ出し、ほかの甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、成長ホルモンも連動して乱れてしまいます。そして、体だけでなく心や肌、全身にさまざまな変調をもたらします。
ちょっとしたストレスで生理周期が乱れた経験のある人は多いと思いますが、それは女性ホルモンのバランスが乱れた証拠でホルモンが微妙な調節をしているのです。
女性ホルモンに不調があると、生理の乱れや冷えが起こるようになります。逆に冷えることで、女性ホルモンの不調を招いてしまうこともあります。女性ホルモンは、無理なダイエットやストレスなどで脳が生命の危険を感じ取ると、体が女性ホルモンの分泌をやめて、生理をストップさせてしまうことがあります。生理不順と冷えが同時に起こるようなら、女性ホルモンの不調かもしれません。
また更年期障害は、年を重ねるごとに卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することでホルモンバランスが崩れ、さまざまな不調があらわれます。ただ、更年期の症状はエストロゲンの減少だけでなく、心理的な要因(仕事や家庭環境など)も複雑に関与するため、個人差が激しく、全身のあらゆる箇所にあらわれます。
女性ホルモンの乱れは、体全体に様々な影響を与えます。ホルモンバランスを崩さないためには、バランスの取れた食事、睡眠、適度な運動、そして、ストレスケアです。生活習慣を変えることは非常に難しいですが、出来ることを少しずつ行い、不安や不調の少ない生活を過ごしましょう。
女性の身体は、年齢とともにいくつかの段階を経て変化していきます。
女性ならではの身体の仕組みをコントロールするのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるふたつのホルモンです。
エストロゲンは、脳下垂体からの卵胞刺激ホルモンに刺激されて、卵巣から分泌されるホルモンです。
具体的には、卵胞を育てて子宮内膜を厚くして妊娠の準備に備えます。また、コラーゲン産生を促し美肌を作ったり、女性らしい身体作りを助ける、自律神経の働きを安定させる、丈夫な骨を維持したり、コレステロール値の調整をしたり、動脈硬化を防ぐなど、様々な働きで女性のからだを守ってくれます。
生理にも密接に関わっており、生理の周期ごとに分泌量の増減を繰り返します。40歳を過ぎるころになると、卵巣機能の低下によって分泌量は減少していきます。
更年期を過ぎて老年期を迎えると、エストロゲンの分泌はほとんどなくなります。骨からカルシウムが流出し、骨粗鬆症になりやすくなったり、悪玉コレステロールが増え、高脂血症を起こしやすくなります。分泌が増えすぎると、乳がんや子宮体がんのリスクが高まると言われています。
プロゲステロンは、エストロゲンとともに周期的に分泌されるホルモンで、脳下垂体からの黄体形成ホルモンにより分泌されるホルモンです。生理がはじまって約2週間たつと排卵が起こります。この時に増えるホルモンがプロゲステロンです。エストロゲンの作用により厚くなった子宮内膜を、柔らかくふかふかにして妊娠の成立を促します。
妊娠が成立したときは、そのまま分泌が続き、出産まで子宮内膜を維持しますが、妊娠が起こらなかった場合、分泌量は約2週間で減少していき、子宮内膜が剥がれ落ちます。これが月経(生理)です。
プロゲステロンは生理前に皮脂の分泌を促したり、水分をため込みやすくなるため、皮脂が増えてにきびができやすくなったり、むくみやすくなります。この他に、乳腺の発達や、利尿作用にも関わります。体温を上げる働きがあるため、基礎体温を測ることで自分の体の状態を確認することができます。